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佐賀県衝撃の食材!珍味「すっぽん」との出会い【前編】

まつのベジフルサポーターレポート

佐賀県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ・食育マイスター前田成慧です。

今回、佐賀県多久市にあるすっぽんの養殖場へと足を運びました。すっぽんと言えば栄養価の高く滋養強壮の食材として有名で、鍋にするとどんな野菜にも合う食材だと言われていますが、果たして「すっぽん」とは実際は如何なる食材なのか?その姿をどうしてもこの目で見たい!という気持ちが沸々と湧いてきたのです。
すっぽん
実は、佐賀県は隠れたすっぽんの名産地。昔から田畑の多い佐賀県は、農業用水路や溜め池が多く存在しており、そこですっぽんが養殖されていました。生産量が多い時は30軒以上もの養殖地があり、過去には生産量が全国1位になったことも。最も生産量が多いのは浜名湖で有名な静岡県、次いで大分、長崎、佐賀、鹿児島、熊本と並びます。
  すっぽん
今回訪問したのは多久市の「大和養殖有限会社」。昭和55年創業、37年間すっぽん一筋の水産養殖場です。毎月1.5〜2トンのすっぽんを出荷しています。
すっぽん
養殖場に到着し、まず驚いたのはその敷地面積。佐賀県の中央部に連なる山間の10,000坪の広大な土地で、すっぽん約5万匹以上を育てています。
すっぽん
生まれて初めて見たすっぽんの姿に、心臓が口から出てきそうなぐらい激しい衝撃が体を走りました。その姿はまるで怪獣!!そして、とにかくたくさんいるのですから、養殖場に着いてからというもの、噛みつかれるのではないか?!と、心臓がバクバクしっぱなしです。

こちらが代表の祝辰博(いわいたつひろ)さん。
すっぽん
養殖池は小(40㎡)サイズが38面、中(200〜300㎡)サイズが30面、大(約400㎡)サイズが2面と大小様々な池があり、グーグルマップでみると四角の露地養殖の池がたくさん映るほどです!
すっぽん
写真は中サイズの養殖池でこの中に1000杯以上のすっぽんが入っているそう。足の踏み場もないぐらいすっぽんがいると思うとドキドキしましたが、水面を眺めても砂の中に隠れていてその姿は見えません。すっぽんは10〜5月は冬眠するので、その間は皮膚やエラもどきで呼吸をして水中でじっとして、水面まで空気を吸いに来ないそう。冬眠期間中は捕獲されても動きがおっとりしていて噛みつくこともないそうです。 
 すっぽん
加温養殖も行っており、ボイラーのある2棟のハウスには小サイズの養殖池が28面もあります。3月は14面使用し、室温は30度、すっぽんが活発に動き成長が早い環境を整えています。
 すっぽん
写真では見つけにくいですが、すっぽんたちが空気を吸いに水面まで上がって来る姿を確認できました。鼻だけ水面から出しています。「暖かくなり肺呼吸をするすっぽんは、30分水没するだけで死んでしまいます」と祝さん。冬眠期間中は水面に浮上せずに水中で過ごし、起きている間は肺呼吸というなんとも不思議な生態ですね。
すっぽん
さらに不思議と言えば、亀は亀でも甲羅が固くないということ。普通の亀は甲羅が固く敵に襲われれば甲羅に入って身を守るのが一般的ですが、すっぽんの甲羅は平たくて柔らかいのです。甲羅の淵の軟骨はコラーゲンの塊で、後ろ部分を触ってみるとブニブニとても柔らか。柔らかく薄い甲羅を活かして岩の隙間などに入り、甲羅が軽い分陸上でも素早い動きができます。

亀の甲羅のように硬くないので、襲われれば強靭なあごの力で攻撃してくる性格。これも生き残るための戦略なのです。実は、すっぽんは生きた化石と言われ、約1億2000万年前(白亜紀前期)からほとんどその姿を変えずに現代に生きています。
すっぽん
大和養殖有限会社では1日に40キロほど東京の築地に出荷、サプリメント加工会社へ週に800キロを卸しています。スタッフの方がどんどん捕獲し、祝さんが1杯ずつ計量して仕分けていました。
  すっぽん
築地市場へは生きたまま箱に入れクール便で配送されます。寒い時期は冬眠するため肉質や味が落ちるということはありません。
すっぽん
このサイズで1年もの。約500~700グラムあります。個体差があり、大きいものでは1.3〜1.5キログラムもあるものも居ます。1年もの全てを出荷せず、質の良いものはまた養殖池に戻します。2年ものや3年ものは商品としての価値が上がり、また5~9月に産卵させて増やしていくためです。
すっぽん
サイズの大きいものは水槽に入っていました。
 すっぽん
この黒いカゴ全てにたくさんのすっぽんが入っています!その大量のすっぽんに驚愕です!
すっぽん
ドキドキしっぱなしのすっぽん養殖場見学。人生で初めて生きている「すっぽん」に出会い、その姿から衝撃を受けました。後編ではまるで怪獣のような珍味「すっぽん」を食します!
佐賀県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ・食育マイスター前田成慧でした。

参考文献:鈴木隆利(2007)「フグの調理技術・すっぽんの調理技術」旭屋出版

 

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