ベジフルサポータージャーナル

静岡県食のバリアフリーを目指す低カリウムの「ドクターメロン®」

まつのベジフルサポーターレポート

静岡県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエの小櫛香穂です。

「お祝いの席に並ぶ果物」といえば、きっと今も昔も変わらず「メロン」は欠かせない果物の一つではないでしょうか。今回は「たとえ食事制限で食べることが難しい方でも、お祝いの日には家族団らんでメロンを楽しんでほしい」という思いから開発された低カリウムメロン「ドクターメロン®」の栽培技術を確立させた農業ベンチャー「Happy Quality」を松野貞文社長と訪問しました。

なぜ「低カリウム」なのか?果物や野菜などに含まれるカリウムは人体に必要なミネラルの一種でありながら、慢性腎不全などで人工透析を受ける患者は摂取制限されるケースが多くあります。

国内に慢性腎不全で継続的な治療を受けていると推測される患者数は、厚生労働省が3年ごとに実施する「患者調査結果の概要」によると2014年には29万人以上と発表されています(参照元:厚生労働省HP「 統計情報・白書 」  患者調査の概況)。
               (画像:Happy Quality)

メロン1個あたりのカリウムは約3400ミリグラム。そこで「ドクターメロン®」はカリウム含有量を半分の約1700ミリグラム以下に抑え、食事制限が必要な腎臓病の方々にとっても食べやすいメロンを目指しました。「家族団らん」をテーマに掲げて美味しさも追及し、糖度は通常のマスクメロンと同等の13~14度を実現しています。

こちらが代表取締役の宮地誠社長。

野菜や果物の生育に欠かせないカリウムを減らす栽培方法について、「理論上は低カリウムメロンができることはわかっていたので、それならチャレンジして栽培システムを確立させようと。センサーで測定しながら 膨大なデータを約2年半かけて収集し、試行錯誤しながら栽培を行いました。カリウムをゼロにすることも可能ですが、糖度は低くなってしまう。その相関を追及しました」と宮地社長は語ります。

静岡大学とも協力し、少量培地による低カリウムメロンの栽培を実現し、現在は播種の時期をずらしなが栽培しています。私も大きな葉を広げて「ドクターメロン®」が育つ様子を見ることができました。

ハウス内外に設置したセンサーで測定したデータに基づき、コンピューターが養液の量やタイミングを調整してくれます。液中のカリウム濃度などをコントロールする栽培システムは、約2年半かけて確立させたそうです。

メロンの栽培は小さなポットで行われます。農産物の少量培地での養液栽培は、静岡大学農学部と共同で研究を進めて確立させたそう。水や培養液を注入する管とつながるシンプルな構造で、苗の入れ替え作業も手間なく行えます。

こちらが使用している栽培ポット。
栽培を始めた当初に使用していたのが左のポット。大きさは片手を広げてのせることができる大きさ。そこからさらに小型化へ。いまでは右の小さなポットで栽培しています。大きさはまさに手のひらサイズ。

中にはロックウールと呼ばれる人工繊維を詰めいます。
ロックウールは無機質素材。カリウムの数値をコントロールするためには、土などの有機物ではなく、無機質であることがポイントです。

少量培地ポットが棚に設置され、温室ハウス内はすっきりとしています。この栽培設備は宮地社長が一から作り上げたそうです。材料も汎用品を利用してているので、コストも最小限で作ることができます。

宮地社長の前職、実は市場で活躍していた静岡メロンのセリ人。静岡県のメロン農家が年々減少していることを危惧した宮地社長は、「メロンを作ることから始めてみよう」と独立しました。使われてない温室ハウスを利用してメロン栽培を始めました。汎用品を用いた設備は初期投資を少なくして負担を減らすことができることから、「今後は新規参入者の技術サポートなども行っていきたい」と宮地社長。

低カリウムの「ドクターメロン®」は、カリウムを抑えたことで通常のメロンよりエグミが少ないのが特徴 なので、メロンでピリピリとした刺激を感じる方にも好まれそうです。

「経験や勘に頼る栽培ではなく、データに基づいた栽培管理で誰でもできる農業を目指しています」と宮地誠社長。栽培ハウスとは別に研究棟もあり、日々より良い栽培手法の研究に取り組んでいます。

トマトの栽培も行っているとのことで、トマトの栽培ハウスも見学しました。

手にしているのは中玉トマト。ミニトマトほどの大きさですが、小さな粒に味が濃縮していました。松野社長もその場で味を確認し、甘みとコクを感じる濃い味のトマトに驚いていました。

食のバリアフリーを実現した低カリウムのドクターメロン®。食を楽しむための選択肢の一つとして、この食材を必要とする多くの方へ届いてほしい…と願わずにはいられないメロンでした。

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