まつのベジタブルガーデン

山形県耳より手より大きい!生キクラゲを味わう

畑の社会見学

こんにちは、山形県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの鐙谷貴子です。6月も中旬になり、やっと気温が高くなってきました。山形県特産のさくらんぼ「佐藤錦」の出荷もやっと始まりました。

さて、 今回は鶴岡市でキクラゲを栽培している鈴木屋本店の鈴木俊将さんを訪ねました。キクラゲとは漢字で「木耳」と書きます。形が人の耳に似ていることからそう言われているそうですが、そんな人間の耳よりも大きな鈴木さんのキクラゲをご紹介します。

遠くには鳥海山、ハウスの手前は夏に収穫予定の鶴岡名産「だだちゃ豆」の畑が広がっています。

左側に目を向けると、はるか遠くに月山が見える田んぼには、秋に収穫予定の「はえぬき」の田植えが済んだところ。

鈴木俊将さんは現在26歳。「父親と一緒に農業をしたい」という思いで就農して5年目になります。キクラゲを売り始めた当初は、そのルックスとシャイな性格から「キクラゲ王子」と呼ばれましたが、そんなキクラゲ王子も今年ご結婚されました。おめでとうございます!

私が鈴木さんの生キクラゲに出会ったのは今から3年前。それ以来大ファンで、これまで圃場も3回訪問しておりますが、まるで整頓された図書館のように並ぶキクラゲにいつも圧倒されます。鈴木さんのキクラゲ圃場のハウスは2棟、1棟4000菌床で、昨年は全ての注文に答えられずにお客様にご迷惑をおかけしたことから、今年もう1棟増やして、合計8000菌床になりました。

ずらりと宝箱のような菌床が整然と並ぶ光景は美しく圧巻です。培養したキクラゲの菌が埋め込まれている菌床は、収穫まで温度と湿度をしっかり管理します。まず、菌床を2ヶ月間ハウス内で培養させた後、四方の側面に2カ所づつ切り込みを入れます。

約2週間経つと、そのカットした部分からキクラゲが生えてきて、約1週間ほどで収穫です。その間、毎朝霧状のシャワーを全菌床にかけるのが日課です。天候に応じてハウスの側面から風を入れたり閉じたり、ハウスの外天井には黒いシートをかぶせたり、と湿度と温度の管理に気を配ります。

今から8月くらいまでが最盛期で、朝晩の2回収穫するそうです。

鈴木さんのキクラゲはとても大きくて、適度な厚みと真っ黒な色が特徴です。今日一番大きいものは男の人の手のひらサイズでした。耳よりも大きいですね。

「ここまで大きくて美味しいキクラゲをつくるには、どんなことを心がけていますか?」と尋ねると、鈴木さんは「単に大きいだけではなくて、大きくても良質なものをつくるのには、毎日の温度と湿度の管理が必須です。昨年からは生キクラゲの認知が上がり、注文も増えましたが、知ってもらうために県内外のイベント会場やデパートなどに出店し、量り売りなどで実際にキクラゲの大きさや質を感じてもらうことで、ジワジワと注文が増えました」と答えてくれました。

収穫したキクラゲについている石付きは固くて食べられません。

それを手作業で2人のパートさんが手際よく取り除く作業を進めていました。石付きを取って出荷されているとは、なんて良心的でしょう。普通乾燥したキクラゲには固い部分がついているのが当然で、毎回石付きを取って調理していましたから、その手間がなくすぐに調理できるのは嬉しいです。

干しキクラゲは、石付きを取り除いたものを別のハウスに並べて、平均2日間天日干しします。一般的な加工品は機械干しが多いのですが、天日干しすることで、キクラゲに含まれるビタミンDがさらに増えるそうです。2日間干して乾燥させ、完成したものは生の時の10分の1の重さになります。

さて、キクラゲの栄養価というと、ビタミンDや食物繊維、鉄分、カルシウム、カリウムなどで、この中でも特にビタミンDが豊富です。ビタミンDや鉄分が多く含まれるため、出血を抑える作用、貧血や便秘の解消などに効果が期待されます。キクラゲは中国では薬用(生薬)として使われる食材で、乾燥キクラゲの煮出し汁を飲む習慣もあるようです。

また、豊富に含まれるビタミンDは骨の新陳代謝に必須とされていて、カルシウムの吸収促進の働きがあります。骨粗しょう症の予防や血液サラサラ効果による生活習慣病の効果が期待できます。ビタミンDが豊富なきのこの中でもエリンギの約3倍、生しいたけの約17倍と言われています(「日本食品標準成分表2015」より)。

また、低カロリーで食物繊維が豊富と言われるきのこの仲間の中でも特に食物繊維が多く含まれ、その食物繊維の大半は不溶性食物繊維です。これは有害物質を吸着して排出させたり、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促す働きがあり、便秘の解消や腸内環境を整えるのに役立っています。キクラゲ好きには嬉しいですね。

鈴木さんのがつくる巨大な生キクラゲ、その大きさにもビックリですが、コリコリの食感と食べごたえは、これまで食べたものと比較にならないものでした。これまでキクラゲというと干しキクラゲを指し、なかなか国内産は手に入りませんでしたし、中華食材というイメージがありましたが、鈴木さんの生キクラゲに出会い、料理のレパートリーが広がりました。

そんな鈴木さんのキクラゲは、圧縮パックに詰めて冷蔵管理で首都圏に送られます。生キクラゲは冷凍保存しても品質を損なうことなく、美味しく食べることができます。

一般的に干しキクラゲは水かぬるま湯で2~3時間かけてゆっくりと戻すのが美味しいとされています。あまり長時間の戻し過ぎは風味や食感を損なうと言われていますが、常備しておくといつでも使えて便利ですね。

 
さて、キクラゲを使ったお料理をご紹介致します。

「生キクラゲのお刺身・醤油麹柚子胡椒で」
生キクラゲはお湯で1分茹でてザルにあけて、柚子胡椒と醤油麹を合わせたものでシンプルにいただきます。

「キクラゲ入りもち米シュウマイ」
肉だねの中にキクラゲを入れて、戻したもち米をつけて15分蒸します。モチモチ、コリコリの食感が美味!

 
「キクラゲ入りビーガン餃子」
中身はキクラゲ、がんもどき、玉ねぎだけの肉なし餃子です。さらっと、さくっと、低カロリーでおやつにもオススメです。今流行りの「酢こしょう」でいただきましょう。

「生キクラゲと生姜の佃煮・ごはんのお供」
キクラゲを千切りにして、生姜とごま油で甘辛にして佃煮にします。箸休めに、そしてごはんのお供にぴったりです。
 

「キクラゲと卵のスープ」
キクラゲは適当な大きさに手でさいて、スープで煮たら溶き卵を回し入れてできあがり。

「キクラゲとトマトと卵炒め」

鈴木さんは、これからキクラゲの最盛期を迎え、夏にはだだちゃ豆、秋にはお米と収穫が続いて忙しくなります。今年も鈴木さんの生キクラゲを私も存分に楽しみたいと思います。

ご注文は、鈴木屋本店鈴木俊将(すずきとしまさ)さんに直接お電話(TEL080-1804-2146)するか、鈴木屋本店facebookページをご覧ください。

山形県のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエプロの鐙谷貴子でした。

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