まつのベジタブルガーデン

沖縄県甘酸っぱくトロピカルな香り!魅惑のパッションフルーツ

ベジフルレシピヒント集

みなさまこんにちは。沖縄県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロの齋藤珠美です。

春と夏をつなぐ長雨の季節が始まった沖縄。本州より梅雨入りと梅雨明けが1ヶ月ほど早く、梅雨の前半は雨は降るけど晴れ間ものぞき、後半になると一気に降水量が増します。新緑の色が深まり、夏の気配も感じる季節となりました。

フルーツ王国沖縄、春から夏にかけてのこの時期は、パッションフルーツの農家では、受粉や袋掛け、収穫、箱詰めなどの同時作業で大忙しだそう。光沢のある緑の葉に丸々艶やかな果実。沖縄県内では本島南部、恩納村、石垣島などが主な産地です。

今回は沖縄県の南部・糸満市にあるアカンミ農園を訪ねました。「今年は実がつくのが早くてね」と話す赤嶺勉さんは、農業を始めて3年目。公務員の仕事を退職後、農業大学校にて果樹栽培の知識と技術を学び、先祖代々受け継いだ畑でパッションフルーツを育てています。

ツルや葉が伸びるのが早いので、余分な部分を選定します。そして、実が熟すと自然に落下するため、傷がつかないように、また葉が擦れて実に傷がつくのを防ぐために、一つひとつ袋をかけて育てます。

南米ブラジル原産の甘味(糖度15~18度)・酸味・香りが揃ったパッションフルーツ。つる性の熱帯果樹で、時計の文字盤を思わせる独特の美しい花は、和名:クダモノトケイソウ(果物時計草)と呼ばれています。

袋がついたまま自然に落下した果実は、色づきをよくさせるため洗濯バサミで挟んで2~3日吊るして追熟。

パッションフルーツの魅力のひとつに、果実が放つ香りがあります。その香りはとても爽やかで、一気にトロピカルな雰囲気を作ってくれます。

収穫されたパッションフルーツはひとつひとつ丁寧に拭き、S〜3Lの大きさに選別され、色づきがよく傷がついてない物は箱詰めし、贈答用として販売されます。1個90~110gまでの大きさのものがL玉。果梗部にシールを添付することで蒸散を防ぎ、鮮度保持の役目もしているそうです。

箱を開けた途端、何とも言えない南国のフルーティーな香りに癒されます。

赤嶺さんが育てているのは紫系の交雑種。日本で一番多く栽培されている種類。

果皮が黄色で楕円形の黄色種(後方)は、紫色種より大きく、果肉は紫色種と変わりませんが、酸味が少ないため甘味が強く感じられ、常温で追熟させても皺は寄りません。手前は南十字星という赤系のパッションフルーツ、見た目も大きく150~200グラム程、果皮にツヤがあり濃紅色、酸味が強いのが特徴です。

ハウスの見学の後は、「さぁ食べ比べてみてよ!」と赤嶺さん。黄金色の果肉に爽快な酸味と甘味、濃厚な果汁が口の中に広がります。

色黒の種と果汁を含むゼリー状の果肉は、種ごと食べられます。種をパリパリっと噛んでも、つるっと飲み込んでのどごしを楽しんでもいいですね。ちなみに私はパリパリとほどよく噛む派!

常温で追熟すると香りが増し、表皮にしわが出てきて、酸味がやわらぐため甘味が強く感じられます。パッションフルーツはハウスなどの早い物だと1月頃から収穫され、1月~5月頃の冬実はしわが少しよるまで追熟して召し上がって下さい。6月以降の夏実は果皮がつるつるの状態で食べ頃。食べ頃になったら冷蔵庫で冷やしてどうぞ。疲労回復の効果が期待されるクエン酸も豊富、疲れているときは酸味がほどよくある状態で!このように酸味と甘みのバランスを自分好みで調節して食べてみるのもおすすめです。

そのままスプーンですくって食べてももちろんおいしいパッションフルーツですが、ひと手間加えてアレンジしてもおいしく味わえます。ソーダ水に果肉を入れてドリンクに。または泡盛などのお酒に入れてフレッシュカクテル風に。種が気になる方は、裏ごしするかガーゼに果肉を入れて絞ると果汁だけ取り出すことができます。

果肉をオリーブオイル、酢、ハチミツと混ぜてドレッシングに。サラダにはもちろんパンケーキのソースとしても楽しめます。野菜をのせたサラダパンケーキにドレッシングを、野菜と果物も摂れるので、休日の朝にいかがでしょう。

ドレッシングの応用編。ニンジンと和えてキャロットラペ風に。

肉巻きのソースとして、酸味が強いものなら酸を利用してお料理にも活用できます。

果肉をそのまま使って、アイスクリームやヨーグルトにかけたり、ゼリーに混ぜて。酸っぱめの果肉なら砂糖を加えて煮詰め、ジャムにしてもいいですね。ケーキにかけるとアクセントにもなり、視覚的にも楽しめます。半分に切って凍らせれば、そのままシャーベットとして食べることができ、暑い夏にぴったりなデザートになりますよ。

来月の梅雨明けとともに、本格的な夏が始まります。マンゴー・島バナナ・パイナップルやドラゴンフルーツ・シークヮーサーと、南国のトロピカルフルーツが次々登場し、店頭を賑わせてくれる季節。沖縄の太陽の恵みをたっぷり浴びて育った南国フルーツ、今年もその芳醇な香りとともに堪能したいですね。

沖縄県のまつのベジフルサポーター・野菜ソムリエプロの齋藤珠美でした。

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