まつのベジタブルガーデン

北海道希少!国産「ひよこ豆」栽培への挑戦!

まつのベジフルサポーターレポート

みなさま、こんにちは。
北海道のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ上級プロ、6次産業化プランナーの田所かおりです。ぷっくり、ころんとしていてクチバシのようなとんがりのある「ひよこ豆」。ホクホクしたお味が魅力のお豆です。西アジア原産で、半乾燥地帯が栽培敵地であることから、通常私たちが手に入れられるものは外国産。そんな中、北海道岩見沢市にある前田農園さんがひよこ豆を栽培されているとうかがい、訪問させていただきました。

前田直和さんは、100年以上続く農家の4代目。2011年にUターン就農されました。主要品目は玉ねぎ、小麦、スイートコーン、サツマモ、豆類。豆類は、就農当時から作り手がいない在来種の豆を中心に30種類ほど栽培されています。こんなのもあるよ!と周囲から勧められる少し変わった豆の中に「ひよこ豆」があり、それが栽培のきっかけとなりました。畑の片隅に、まずは植えてみよう!という気持ちで10~20株植えたのが2012年。そして、本格的に50メートルハウス1棟を使い栽培し始めたのが2014年。日本では極めてレアな品目ゆえ、参考になる文献は皆無。毎年試行錯誤を重ね栽培、乾燥、脱穀すべての工程が試行錯誤の連続です。

【ひよこ豆の栽培】主要品目の玉ねぎ栽培との兼ね合いで進められています。

5月初旬ごろに播種を行い、
玉ねぎの苗たてに使用したハウスが空いたら定植をします。

7月下旬から8月上旬にかけて花が咲き、

その後実が着き始め、(ひよこ豆の草姿は2種類見られました。)

お盆後くらいに収穫します。この頃のひよこ豆は、サヤはぷくっと膨らみ、

サヤを破くと1つのサヤの中に1~2個の豆がしっかり固定されています。

そして、乾燥、脱穀を経て、すべての工程が終了します。このような工程を経て作られるひよこ豆。一般的な作物であれば、播種の仕方・時期、定植の時期、株間、収穫のタイミング、その後の処理の方法など全ての工程が調べればすぐにわかるのですが、ひよこ豆はそうはいきません。栽培を始めた当初は、海外のひよこ豆の文献には、「雨季の終わりに種を播いて、次の雨季までに収穫」とあり、水遣りの頻度がまったくわからなかったといいます。また、ひよこ豆は大豆などの一般的な豆類と違って、乾燥してもサヤが割れにくく、一般の脱穀機では歯が立たず、脱穀作業も手作業でされています。2016年度の試みは、これまでハウス内に4ベットだったものを5ベットに増やしたこと。

もともと湿度が苦手な植物で、台風襲来の際に湿度が上がりダメージを受け、収量は前年の三分の一。2017年度は4ベットに戻すそうです。このように、毎年が挑戦の連続で収穫頻度が安定しないようですが、国産のひよこ豆の引き合いは強く、栽培面の課題以上に、ひよこ豆の単価設定をどの程度にすべきかが課題です。もともと収量が少ない上に、栽培に適した環境ではなくハウスなど資材も必要。そして全てが手作業。一般の豆と比べるとその経費は雲泥の差。国産ひよこ豆が強く求められているがゆえに、これから多くの生産者が取り組める採算性のある品目になるのか、それとも片手間でなんとか作れる赤字寸前もしくは生産者さんの好意に甘えた品目になってしまうのか。新規作物であるために、沢山課題がある品目ですが国産ひよこ豆に対する期待は大きいです。良いものにはお金を出すよという消費者が無理なく買えて、採算性のある品目に育つことを期待しております。そんな希少なひよこ豆をカレーにしていただきました。

多くの困難を乗り越えて手元に届いたひよこ豆の味は格別です。

以上、北海道のまつのベジフルサポーター、野菜ソムリエ上級プロ、6次産業化プランナーの田所かおりのレポートでした。

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