提携産地レポート

福島県DJコウの産地リポート! 南郷編

皆様こんにちは。DJコウこと、商品部の甲将明です。今回は弊社に7月下旬から10月下旬の霜が降りる前頃まで、トマトを出荷いただいている“福島県南郷の産地に行ってまいりました。

「南郷トマト」の歴史は、昭和37年に遡ります。南郷村(当時。現・南会津町)で生産が開始され、標高の高い南会津特有の昼夜の寒暖差のある気候が生み出す糖度ののったトマトです。

2004年には『南郷トマト』の名で商標登録され、2015年には日本一の栄誉『日本農業賞 大賞』を受賞し、一大ブランドトマトになります。

今年、関東甲信越地方は観測史上初の6月に梅雨明けしましたが、訪問したこのときは東北地方は梅雨真っ最中。

梅雨入りまでは日中温度30℃、夜間13℃と寒暖差があり生育が前進傾向でしたが、梅雨入り後は日中温度が22℃程度のため生育が少し遅れ、現在は3~4段目の着果に落ち着いておりました。

雨で湿気が多いと病気の心配があり、日照不足により積算温度(必要積算温度は1200℃)があがらず生育の遅れも危惧されますが、現在のところは遅れは軽微で、今年の出荷開始時期は7月15日~20日頃を見込んでいます。
※積算温度:毎日の平均気温を合計したもの。

農協職員の渡辺祐紀さんによると「3段目~4段目までは、トマトが自分自身の樹を伸ばしながら実もつけるため、樹の成長の負担にならないよう果実をまびく摘果が大切。欲を出して最初の頃の段で実をたくさんつけて収穫してしまうと樹と根が育たず、5段目以降、実成りが悪く良いトマトが採れないんです」と言われていました。

南郷トマトは立地上、霜が降りる11月上旬頃までで終了になるため、11段~12段までしか栽培できず、シーズンを通した出荷量はさほど多くありません。

そのため、出荷期間が長い産地では、脇芽を取り除いて日当たりや風通しを良くして病害発生を防ぎ、実に栄養が行くようにするのですが、南郷では入念な施肥設計と圃場の整備を行い、技術を駆使して、脇芽をとらずに2本~4本立てにし収量を増やす努力をされております。

そして味に定評がある南郷では、余計な肥料は極力使用せず、収穫は気温が低い早朝に行い、2時間程で選果を済ませ速やかに予冷を行います。トマトは収穫後も呼吸をしているため、常温のままおくと実の酸度が増し味がぼけてしまうのだそうです。

南郷といえば残雪を活用した『雪室予冷』。積もった雪を3月に雪室に貯蔵しトマトの出荷前の冷やし込みに活用する、豪雪地帯ならではの天然の冷蔵庫です。

電力を使わないので省エネ、雪は溶けても水になるので環境にも優しい予冷。私も入室させて戴きましたが、優しいひんやりとした空気を体感し、自然との共存を感じました。

会津盆地は冬場も雨が多く雪が水分を含んでいるため、雪室で貯蔵されたものは、雪というよりも氷に近い印象です。そのため溶けにくく、3月に貯蔵した雪でワンシーズン持ちこたえる保冷力。室内は温度設定もできるようになっているのだそうです。

とはいえ豪雪地帯ならではの苦労もあり、降雪時には積雪が2mを超える時もあるため、シーズンオフを迎えたトマトのハウスが倒壊しないようビニールは全てはがし骨組みだけを残すそうです。

また、用水は河川の水を使用し水質検査も年に1回行っており、J-CAP取得も視野に入れて他産地へも足しげく通い、多品種の食味を熱心に研究され、真摯にトマトづくりに取り組んでおられます。

部会全体の年齢も若く、経営を法人化されている方々もいて、若い方々が収量を伸ばしておりこれからが大変楽しみな産地です。

再びハウスに戻り、農協職員の渡辺祐紀さんよりお話をいただきました。

「冬は豪雪に悩まされ、夏が短いため出荷量も決して多くはない産地ですが、部会全員が一丸となってまとまって勝負していきます! そのためには人が大切。南郷にとって何が必要か、原点に立ち戻って考えていきます」

トマト栽培の流行の一つである高糖度トマトやミニトマトの栽培は行わないことが南郷の方針。「南郷トマト」ブランドを確立し、守りを固めつつ攻めていく姿勢を強く感じました。

まつのには7月15日~20日頃からの入荷予定となっております。自然と共存し育て、味ののったブランドトマトをぜひご賞味くださいませ。例年、秋口には夏場より味がもう一段のった「秋味」と表記されたトマトが登場します。こちらは9月の第一週頃からのスタートです。お楽しみに!

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