松野貞文の全国視察レポート

佐賀県ガツンと濃い味!本場タイにも負けない『武雄パクチー』

昨年、大手飲食店検索サイトで『今年の一皿』に選ばれ、益々注目されているパクチー。
静岡県、岡山県が産地として有名ですが、佐賀県にも本場のパクチー栽培を追求する農家さんがいらっしゃいます。佐賀県武雄市の『江口農園』さんです。
4年前、武雄市から市の特産品にしたいとの要望を受け、江口さんら若手農家さんによりパクチー栽培への挑戦が始まりました。試行錯誤の上やっと収穫時期を迎えても半年間は取引先なし、畑で処分したそうです。『何を売りにするか?』マイルドで食べやすさを売りに人気を得ているパクチーがあるなら、と敢えて真逆の戦略、『ガツン!!と強い香りと濃い味』を目指すことに。種子は本場タイまで買い付けに行きます。
パクチーの香りと味は根が一番強いとのこと、根をしっかり這わせるよう土はフカフカ柔らかくし、大きく育てる事でしっかりと香りと味の強いパクチーになります。鮮度保持の点からも根付きで出荷するのが江口農園さんのこだわりです。  もともと虫が付きにくい植物なので農薬も殆ど不要で発芽したら除草剤も使用しません。収穫は根を傷つけない様、丁寧にスコップで掘り起こします。


葉も大きくしっかり、パクチーの独特な強い香りも刺激的です。
その場で試食させていただきましたが柔らかく、えぐ味がありません。
この強烈パクチーがパクチー専門レストラン『パクチーハウス東京』の目に留まります。パクチニスト(パクチーをこよなく愛する人)に評価され、口コミで広がり、現在では全国の飲食店約100店舗に宅配、大手野菜通販企業『Oisix(オイシックス)』でもお取り扱いされています。地元の食品メーカーと共同で『パクチーペッパー』も商品化、まさに地域活性化を実現されています。 年々需要が増す武雄パクチーですが、課題は夏。暑いタイで有名なお野菜ですが、実は暑さが天敵。夏場の収量は冬場の1/3に激減するそうです。ハウスに遮光資材を覆わせ、水は18時以降にかけるなど夜温が上がらない様に工夫、夏場に増す需要にどうにか応えようと毎年実証実験しながら研究されています。

今後さらに本場のパクチーを極めようと『パクチー3兄弟』と呼ばれる『パクチーファラン』『パクチーラオ』の栽培を目指し、この日も本場タイへお父様が視察に行かれていらっしゃいました。
『武雄をもっと元気にしたい!』武雄市と若い農家さんが一緒になって取り組んできたプロジェクト。産地化し地元の雇用を生み、地元企業とコラボ商品も開発。障害を持つ方も一緒になって働く環境がありました。まさに農業が地域活性化を実現しています。『地元を盛り上げたい!』江口さんの情熱が伝わります。
江口農園さんの『武雄パクチー』、今後の展開が楽しみです!

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